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romaks-tanのお話

@romaks_tan_prv でモーメントが使えないため、こちらにお話をまとめています

重岡大毅×神山智洋「Lovely X'mas」@S×K

(智洋Side)

 

「なあなあ、これめっちゃ行きたいねんけど!」

 

期末テストまであと少しとなったある日の昼休み。

突然スマホとにらめっこしてた望が言った。

 

「何?」

「これ!めっちゃうまそうちゃう?」

キラッキラの目でスマホの画面を差し出す。

そこには確かにおいしそうなローストビーフ丼の写真があった。

最近人気のお店やったような気がする。

 

「これ、期間限定で半額らしいで?!行きたくない?なぁ?」

つまりはみんなで行きたいってこと。

 

出ました、甘えん坊ののぞむくん。

 

「確かにおいしそうやな。」

俺は素直に乗ってあげる派。

 

「やろ?なぁ神ちゃん、シゲと流星も説得して?」

「なんで俺やねん!自分でしなさい。」

「別に俺、行かへんとか言ってへんで?」

シゲは興味のある時は乗ってあげる派。

大体興味があるんやけど。

 

「ホンマ?!ほら、流星、シゲも言うてるで?行こうやー。」

「ええけど、いつ行くん?」

流星はサラッと乗っている派。

 

要するに俺らは甘えん坊ののぞむくんに甘い。

 

「やったー!えー、どうしよっかな~」

スマホのスケジュールとにらめっこ中。

おーい、そのスケジュールに期末テストの文字はちゃんとありますかー?

 

「再来週の火曜は?」

ちょうどテストも終わってひと段落したくらいのとき。

この学校はテストが終わると同時に授業もなくなる。

部活にも入ってない俺らにとってもうそこは冬休み同然。

 

「なんもないよー。」

「じゃ、決まり!」

タイミングよく5時間目の予鈴が鳴った。

 

「詳しい時間とかはテスト明けにしよか。」

行くことは決まっても、そこから先が決まらへん。

結局予定が流れることもあり得る。

というか実際にあった。

やから、ここまで来たらまとめるのは俺の仕事。

じゃないとまたおじゃんやもん。

 

「は、テスト・・・やばい、次英語単語やん!忘れてた・・・」

「嘘?!そんなんあった?」

テスト前に重なる小テスト。

基本的にこいつらはその予定を把握してへん。

 

「俺らないよな?」

「うん。6時間目やで?」

「え・・・」

シゲも含めて。

 

「神ちゃん、次のとき教えてー!」

「はいはい。」

こういうときについつい甘やかしてしまう。

これを惚れた弱みというのか・・・。

 

「ずるいぞ、シゲ!お前もこっち側の人間やろ!」

「なんやねん、こっち側って!俺は勉強教えてもらうんや!」

 

ちなみに望とシゲは補習常連組。

流星は毎回ギリギリ補習から逃れる組。

俺は余裕で逃れる組。

補習のボーダーライン、かなり低いんやけど、なぜかこの関係は変わらない。

 

「裏切り者!一緒に勉強してたあの時間は?!」

「俺は脱補習するんですー!」

 

 

「神ちゃん!頼む!」

なんだかんだで数回の席替えの末、前後になった俺ら。

しかも窓際。

いわゆる特等席。

神様、ちょっとこれは優しすぎませんか?

 

その上、5時間目は自習と言っても過言じゃない古文。

5時間目の古文なんて子守歌と一緒。

それを証拠に1番後ろのはずやのに視界が開けている。

うーん、いつも以上に黒板がよう見えるわ。

 

「範囲、こっから?」

「うん。そんな難しないと思うで?」

やから、起きてるだけ俺らは偉い、ってことで。

内職は見逃して? 先生?

 

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(望Side)

 

「なぁ、流星?」

「ん?」

「俺にな、考えがあるねん。」

 

ボロボロに終わった英語の単語テスト。

しゃあない!

もう終わったことは気にしたらアカン!

そんなんより俺には考えなアカンことがあるねん!

 

「何の話?」

「シゲと神ちゃん!」

「あぁ。」

 

夏祭りのときに2人がようやく、ちゃんと付き合い始めた。

それからたびたびノロケ話を聞かされている。

シゲは俺に、神ちゃんは流星に言うことが多い。

言うっていうか、LINEがほとんどやけど。

まぁ、お互いホンマに楽しそうに報告してくる。

こないだ流星に神ちゃんとのLINE見せてもらったときなんか、シゲと一緒すぎて笑ったもん。

どんだけお互い好きやねん!

幸せかよ!

 

「あの2人にちょっと冬の想い出作ってもらいたくない?」

「どういうこと?」

昼休みにたまたまTwitterで見つけた最近人気のお店のツイート。

これを利用しいひん手はない!と思って誘った。

優しい神ちゃんを筆頭に俺の読み通りに計画が立った。

ってことは?

もうこの先も俺のもんよな?

 

「ええやん。やろうや。」

流星も俺の案に乗ってくれる。

「やろ?あー、楽しくなってきたわー。」

夏に2人をくっつけるときもこうやって流星と作戦を立てた。

なんでやろ。

こういうのってめっちゃ楽しい。

 

「はい、次の文・・・小瀧読んで。」

「え?ちょ、流星!どこ?」

「えー、俺に聞かれてもー。」

ただ、今が授業中ってことだけが問題点。

 

「おい、聞いてへんかったんか?そんままやったら成績下がっても知らんで?」

「えー!それはひどいって、淳太!」

英語の担当教員であり、このクラスの担任でもある淳太。

すっごい賢いねんけど、どこか不器用なところがある。

そこがすっごい好き。

 

「呼び捨てにすんな!先生をつけろ、先生を!」

でも、先生って感じがしいひんねんなぁ。

制服着やんと並んだら絶対俺の方が年上に見られる自信があるもん。

やったことないけど。

 

「うわー、今にもチョーク飛んできそうやで、望。」

「飛んで来たらキャッチしたる!」

「飛ばさへんわ!」

どんな小さいことにもツッコんでくれる。

そこも好き。

 

「もうええ。代わりに課題出したるわ。」

「えー?!嘘やん?!」

「嘘ちゃうわ!」

淳太、ひどーい。

でもこうやって絡んでくれるところは大好きやで?

1番じゃないけど。

 

「5、4、」

後ろからカウントダウンが聞こえてくる。

誰よりも授業を面倒と思っている流星の声。

 

「2,1,0」

同時に授業終了のチャイムが鳴る。

 

「しゃあない。小瀧、お前、あとで俺のデスク来いよ!終わります。」

バタバタみんなが立ち上がって違うところに行く。

 

「災難やなぁ。自業自得やけど。」

いや、俺だけのせいか?

流星もやん!

 

「流星、ついて」

「いかへんから。」

やのに来てくれへん。

「いじわる。」

「いってらっしゃーい。」

笑顔で見送りやがって。

 

「あれ?望、どうしたん?」

廊下で神ちゃんとすれ違う。

 

「淳太のとこいかなアカンねん。」

「なんか、やらかしたんやろ?」

ニヤニヤした顔で言われる。

 

「なんでわかるん?!」

「だって中間先生、今、あぁもう!とか言いながら通り過ぎてったもん。」

あぁ、これは結構課題出されるヤツやな。

 

「ちゃんと終わらせて期末頑張りや?やないと行けへんで、あの店。」

予定した日は本来補習のある日。

でも今回こそは回避してやる。

 

「わかってるわ!絶対行くから!」

俺の計画を実行するためにも、絶対行くから!

 

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(大毅Side)

 

無事、期末テストが終わった。

しかも全員補習に引っかかることなく、冬休みを迎えた。

 

ちなみに、俺と望が補習を回避したのは初めてのこと。

毎回、何かしらアカンかったからなぁ・・・。

望も俺も。

でも今回は違う。

 

半分くらいの教科が平均を超えた。

先生にはかなり驚かれた。

ちょっとひどいよな。

 

とにかく、今日は望が行きたい!って行ってたお店に行く日。

 

「せっかくクリスマス近いんやから、なんかそれっぽいこと、しよ!」

 

お前は子どもか!と言いたくなる望の提案によりプレゼント交換もすることに。

まぁ、損にはならんからええんやけど。

 

というわけで今俺のかばんには柄にもない包装のプレゼントが入ってる。

何が入ってるか?

そんなん言うわけないやん。

 

”駅着いた!”

携帯に入るLINEは神ちゃんから。

家が近いのに一緒に来てないのは俺がさっきまでプレゼントを買いに行ってたから。

そう。

今カバンに入ってるのはさっき買ったもん。

やから待ち合わせ場所は最寄り駅。

 

”なぁ、既読、1しかつかへん・・・”

不安げな君からのLINE。

まぁ、その1は俺なわけで。

でもつくべき数字は3なわけで。

ということは残りの2は・・・

 

”もしかして、あいつらまだ寝てるんちゃうん?”

”じゃなかったら連絡来るよな・・・?”

そりゃそうやな。

ってか、望、あんな楽しみにしてたのに寝てるか?

 

”とりあえずそっち行くわ”

待ち合わせ場所は駅の改札を抜けた階段の下。

同じように待ち合わせの人っぽいのがいっぱいおる。

でも、その中から神ちゃんの姿を見つけるなんて簡単。

 

「あ!」

白いコートを着た君も俺のことを見つけてくれたらしい。

笑顔で手を振ってくれる。

そういえば、夏祭り以降こんな風に2人で待ち合わせなんてなかったかも。

 

いつも神ちゃんが図書館か、どっちかの家で勉強を教えてくれるばっかり。

そのおかげで補習を回避できた。

その上、平均以上を取る教科が出るなんて、神ちゃんのおかげ以外の何物でもない。

2人きりで勉強するのもドキドキするんやで?

でもそれ以上に補習の危機の方が大きすぎて、そんな気持ちはしまわんとアカンかった。

それで今日がなくなったら、意味ないもん。

 

もちろん、今日はそんな必要ない。

純粋にこの時間を楽しめばいい。

そんな時に2人きりとか・・・

 

急に心臓がドキドキしだした。

 

「ごめんな、遅なって。」

「ううん。俺もさっき着いたとこやし。それより流星と望、どうする?」

「んー・・・」

置いていく、っていうのが俺の中の1番の候補。

そしたらずっと2人やで?

君は反対するやろうけど。

 

「あ、望!」

君の携帯には望からのメッセージ。

一緒に携帯を覗く。

君に近づきたいという小さな下心付きで。

 

”ごめん、財布忘れたから家戻る!”

 

「あいつ、アホやな。」

「でも望が忘れもんって珍しいな。」

 

”先行ってて!”

続いて届くメッセージに君が返信する。

 

”でも俺もシゲも店の場所わからへん”

”ちょっと待ってて!”

相変わらずつく既読は1。

1つは俺が神ちゃんの携帯を見てるからついてへんだけやけど、もう1つは確実に寝てるな。

 

「借りるで?」

「え?」

君の手から携帯を奪い、文字を打つ。

 

”望、ついでに流星起こして来てや”

「ちょ!俺が打ったみたいになるやん!」

すぐに君に奪い返される。

 

”今のシゲから”

”やっぱり(笑)”

望にはバレバレみたいやけど。

そりゃそうやな。

 

”あいつ、寝てるん?”

”だって既読、望しかついてへん”

”めんどい”

小瀧望がスタンプを送信しました”

だるそうな顔のスタンプ送りやがって。

 

「あいつー!」

「あ、ちょ!」

”起こしてこい!”

「もう!」

「あー、」

小瀧望が画像を送信しました”

”はい、地図”

”結構遅れるけどいい?”

”ええよ、シゲと先に行ってるな?”

 

ぐっと睨まれる。

でも全く怖くない。

むしろかわいいだけ。

自覚ないらしいけど。

 

”神ちゃんとシゲ、交互なん、めっちゃわかるわ(笑)”

「最後!」

「!?」

”うるさい!早よ流星起こしてこいよ”

”はーい”

 

「もう!自分のでやってや。」

「ええやん。望分かってるんやし。」

俺はただ神ちゃんにちょっと近づきたかっただけやし。

でも思った以上にドキドキしたからちょっと後悔。

 

「じゃ、行こか。」

「はいはい。」

 

望が送ってくれた地図をもとに探す。

嘘。

探してもらう。

 

「これ、結構歩くかな?」

「ってか、今どこ?」

「え、ここちゃうん?」

普段地図なんか見ながら歩くことないから全くわからへん。

適当に歩けば着くやろ、の精神。

でも神ちゃんはちゃんと確認していくタイプらしくて。

 

「うーん、駅どれやろ・・・?」

地図とにらめっこ。

そうしてる間に11時を知らせる鐘が鳴る。

確か予約、11時半とかじゃなかったっけ?

 

「これや!よし、シゲ、いこ!」

ぐっと手を引かれる。

 

「お、おぅ。」

急に近くなる距離。

自分から仕掛けても結構ドキドキしたのに。

さっきまでドキドキしてた心臓がさらにドキドキしだす。

ついこないだまで、こんな距離、夢みたいやったのに。

 

「どうしたん?」

振り返って首を傾げる君が俺のものなんて。

未だに嘘なんちゃうかと思えてしまう。

 

「ううん。なんでもない。」

でもなんか、神ちゃんは余裕そうやから、この気持ちは隠しておくことにした。

俺だけ余裕ないの、嫌やもん。

 

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(智洋Side)

 

まさかの事態。

 

今日は4人で、と思ってたのに、なんと今、シゲと2人。

 

別に、傍から見たら普通のことなんやろうけど。

でも俺にとっては、夏祭り以降、ドキドキが増すばかりで心臓に悪い。

今もほら、めっちゃドキドキしてる。

 

あれから勉強会とか2人でしてみたりもした。

でもやっぱりドキドキでそれどころじゃなくなりそうで。

なんとかできたのは、シゲの補習回避という重大任務があったから。

勉強に集中せざるを得ない状況やった。

おかげでシゲは補習を回避できたんやけど。

 

そこではもちろん、学校帰りやから制服やったわけで。

でも今は私服なわけで。

見たことないわけちゃうで?

ちゃうけど、レアなわけで。

 

頭の中をいろんな考えがめぐる。

それが余計にドキドキを加速させる。

 

しかも!

 

さっきまで望との連絡にわざわざ俺の携帯覗いたり、代わりに打ったり。

近づく距離にドキドキしいひんヤツがおったら連れてきてほしい。

そのくらいドキドキした。

いや、ちゃうな。

今もやから、ドキドキしてる。

 

それを悟られたくなくて、望から送られてきた地図を片手にシゲより前を歩く。

こうしたら顔、見られへんから。

 

なんで見られへんのがええかって?

だって、今顔見られたら絶対ドキドキしてるのバレるもん。

それは困る!

はずい!

はずすぎる!

 

ただ、この方法には問題点が1つ。

俺もそんなに地図が得意じゃない。

いや、シゲほどじゃないで?

でも、なんとなく近くにあるものを頼りに進んでるだけ。

 

ホンマにこれで道、合ってるんかな・・・?

 

「なぁ、シゲ?」

「ん?」

「この道で合ってると思う?」

「えぇ、俺そんなんわからんで?地図嫌いやもん。」

 

うん。

知ってる。

あの壊滅的な地理見たもん。

ホンマ、ようあそこから平均点にまで成長したな、と思ったし。

 

「神ちゃん、できるんちゃうん?」

「うーん、俺も得意ではない。」

「そうなん?てっきり得意なんかと・・・。」

だって、こうやってシゲとしゃべるの、ドキドキするんやもん。

そしたら地図見るしかないやん?

もうこれ、不可抗力やろ?

 

「でもな、一応周りに何があるかくらいは対応させられるつもりやで?ほら、ここコンビニ!」

「あ、ホンマや。」

 

地図はそのコンビニを真っ直ぐ進めと書いている。

でも、それとは裏腹にこの先にそれらしき店はない。

やっぱり迷ったんかなぁ・・・。

 

ドキドキに負けて先頭歩くんやなかった、とか。

もうちょい俺にも地図ができたら、とか。

望にまかせっきりじゃなくて俺も店調べとけばよかった、とか。

 

小さな後悔が頭を埋め尽くす。

ちょっと自己嫌悪・・・。

 

「じゃ、とりあえず行ってみようや。」

 

そんなときに楽観的な君の考え方は救いになるんやろうか。

行き当たりばったりで生きているとはまさにシゲのこと、と言えるくらい楽観的な部分を持っている。

俺にはないもん。

やから惹かれた、と言っても過言じゃないのかもしれへん。

 

時計を確認する。

たぶん、予約の時間はもうちょい先。

やったら、少しくらい迷ってもええか。

そう思えたのは、楽観的な君の考え方が移ったからなのか。

 

それとも、君とならどんなこともすべて溶けて幸せに変わってしまうからなのか。

 

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 (大毅Side)

 

とりあえず行ってみよう、とは言ったものの、やっぱり店らしきもんなんて見当たらへん。

っていうかそもそも、建物が減ってへん?

 

「なぁ、最近雪降ったっけ?」

「へ?」

 

突然の君からの質問に間抜けな声が出てしまった。

 

「いや、なんか地面、白くない?」

 

言われてみれば、ほんのり道路が白くなっている。

でも、雪が降った記憶なんてない。

 

「人工、かな?」

というか、それしか考えられへん。

「町中に人工雪を降らせる必要性は?」

でもその答えも君の質問にあっさり砕かれる。

「・・・ないなぁ。」

 

こうなったら店にたどり着くかなんてどうでもええ。

この雪の謎が知りたい!

 

「ちょっとさ、行ってみいひん?」

このまま、雪をたどればきっと謎は解ける。

 

「え?でも、時間・・・」

「大丈夫やって。それに悪いのは時間通りに来んかった流星と望やねんから。」

あの2人が時間通りに来ればここに来てなかったかもしれへん。

正論やろ?

あの2人を待ってたらかかってたであろう時間をここに割く。

ほら、大丈夫。

 

「神ちゃんも気にならん?」

あとは君の興味だけ。

「なる。」

もちろん答えは俺の期待してた通り。

 

「じゃあ決定!行こ!」

 

神ちゃんが見つけた白い雪。

そもそもこの辺は毎年雪自体、全然降らへん。

北陸とかに分けてもらいたいくらいに。

そのせいかな?

未だに雪を見るとちょっとテンションが上がる。

それも、こんなに謎たっぷりなんて。

君と2人で、なんて。

テンション上がらんわけないやん。

 

「ちょっとずつ量も増えてるな。」

「確かに・・・」

 

歩けば確実に雪を踏んでいるという感触に変わっていく。

こんなに早くこれを体験できるとは・・・

なんなら1回も体験せえへん年もあるというのに。

一体、この先で何が待ってるんやろう?

俺の胸はさっき君を前にしたときとは違うドキドキでいっぱいやった。

 

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(智洋Side)

 

子どもみたいな顔して先へ進むシゲの少し後を歩く。

いつも子どもっぽいところはあるけど、今日は特に子どもっぽい。

これが少し早く見れた雪の力、なんかな?

今にもスキップしだしそうな軽い足取り。

白い雪にマフラーの赤が映えるなぁ。

まるでショートケーキみたい。

なんて言ったらポエマーとか言ってバカにされそう。

やから絶対言ったらへん。

 

「あ!あれちゃう!?」

勢いよくシゲが何かを指さした。

その先には何かの看板があった。

 

「小さな雪まつり・・・?」

どうやらなかなか雪の降らないこの地域にいる子どもたちにも雪を楽しんでもらうためのイベントらしい。

確かに、冬休みになったらばあちゃん家に来たりしてたけど、1回も雪降ってたことないなぁ。

なんなら、まだちゃんと雪が積もってるのを見たことがない子もいるかもしれへん。

そんな中でこんなイベントやったら、盛り上がるんやろうな。

 

でも、今日は平日。

俺らはテスト終わりで学校がないけど、世間的にはまだ学校も仕事もある時間。

つまり、人が全然おらへん。

盛り上がりは、欠片もない。

 

「こんなんやっててんなぁ。」

ということは、隣で楽しそうに笑う君と2人きり、が続くわけで。

「見て!これめっちゃすごい!」

目の前にある雪のオブジェなんかより、俺の意識は君に向いてばかり。

 

「なんか、望と流星にちょっと感謝やわ。」

ふと君が呟いた言葉。

「なんで?」

理由は分かってる気もするけど、やっぱりちゃんと直接聞きたくて。

 

「だって、あの2人がちゃんと来てたらこんなとこ来れてへんで?」

返ってくるのは期待通りの言葉。

「そやね。」

その言葉だけで十分やのに。

 

「俺、神ちゃんとここ来れてよかったわ。」

ほら、また俺をドキドキさせる。

そんな笑顔でこっち見んといてよ。

ずっと離したくなくなるやん。

ドキドキするやん。

俺だけ余裕がないみたいで、ちょっと悔しい。

やから、俺にもちょっと仕掛けさせて?

 

「そしたら、もうちょいあっちまで行ってみいひん?」

君の腕を引いて。

きっと今、俺の顔も耳も真っ赤。

でも、君の顔も少し赤くなった気がしたから、これは俺の勝ちってことでいい?

 

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(大毅Side)

 

「俺、神ちゃんとここ来れてよかったわ。」

2人しかおらんこの場やから言える俺の本音。

それが言えたのは、まだ雪が降るほど寒くないのに目の前に立つオブジェたちの雪マジックなんかな?

たとえマジックのおかげやったとしても、この気持ちを君に伝えたいと思ったこの気持ちは嘘じゃない。

マジックでもない。

今この瞬間で世界が止まってしまえばいいというこの気持ちも、全部俺の本音。

 

「そしたら、もうちょいあっちまで行ってみいひん?」

こんなタイミングでそんなこと言われたら、なんか余計にドキドキするやん。

俺の腕まで引いちゃって。

 

アカン。

急に神ちゃんと2人きりという現実に引き戻された。

さっきまで雪にとられてたドキドキが一気に帰ってくる。

あー、心臓がうるさい。

 

「時間は?」

精一杯の俺の照れ隠し。

「大丈夫。もう望とかが着くって連絡来た。」

いつの間に確認したんやろ?

一応携帯をちらっと確認してみる。

でも、そんな通知はない。

 

「個人で?」

「もう見たん?」

ちょっと残念そうな顔をされた。

 

「せっかく俺もシゲと一緒におりたいから言うたのに。」

少し拗ねた声を出した君がかわいすぎる。

余裕そうに見せてるけど顔が赤くなってるとことか、やばい。

今すぐ抱きしめたくなる。

なんで、そうやって俺をドキドキさせることをさらっと言うんかな?

 

「なぁ、アカン?」

そんな風に首を傾げられて、俺が断れるなんて思ってるんやろうか。

いや、これは俺が断らんと知ってての確信犯やな。

 

「んなわけないやろ。」

「じゃ、いこ!」

また楽しそうに俺の手を引いた。

 

神ちゃんを含め、大体の人が俺の方が年下みたい、って言う。

でも、俺は知ってる。

ホンマは神ちゃんにも十分子どもっぽいところがあることを。

それを頑張って隠して大人っぽく見せようとしていることを。

それも全部含めて神ちゃんのことが好き!ってもしも言えたら。

一体どんな顔をされるんやろう?

また、顔を真っ赤にしてくれるんかな?

 

「あ、あっちの方、雪降ってる!」

「へ?」

君が指さした方角には人工雪を作る機械が堂々と置かれていた。

一応立ち入り禁止の柵はある。

でも簡単なもので。

ま、今は小さい子もおらんしええんか。

にしても無人で動くんや、これ。

いや、どっかでちゃんと操作してんのかな?

 

「あ、流星起きたって!」

「ほんまや。」

携帯に入った通知。

いや、遅すぎやろ。

 

「俺らも寄り道してるよーって送るな?」

「はーい。」

俺の代わりに連絡してもらう。

携帯を見る目元に白い人工雪がそっと舞い降りた。

 

「ん、なんかついた。」

でもすぐに手で払われる。

あぁ、せっかく絵になってたのに。

 

「え?!」

「どうしたん?」

「いや、これ・・・」

見せられた画面には流星からのメッセージ。

 

”今から行く”

”ここやんな?”

藤井流星が画像を送信しました”

送られてたのは店の場所の写真。

 

「望のやつと違う!」

「え!?」

確かに、違うとこから拾ってきた地図やからわからんかったけど、よく見たらさっきまで見てた地図と示す場所が違う。

ホンマにここか?と迷った場所が見事に逆になってる。

やっぱこっちじゃなかったんやん。

あいつら、もしかして・・・

 

「なんやねん、もう。」

頬を膨らます君はきっとあいつらの策略には気づいてない。

うん。

これは黙っとこう。

思い過ごしかもやし。

 

「いこ、シゲ。」

「あ、うん。」

もう少し君と2人きりでいたいと思ったけど、あいつらに仕組まれたと思うとそれも悔しくて。

複雑な心境に陥る。

 

「なぁ、」

「ん?」

「今度もっかいここ来たらアカン?」

「へ?」

でもそれは君の言葉で晴れる。

 

「いや、もうちょいシゲとおりたかったから。」

嘘。

この一言によって跡形もなく消えた。

 

「アカン・・・?」

このお願いを断れるヤツがいたら会ってみたい。

少なくとも俺は無理。

 

「んなわけないやん。」

だってその後に待つ最高の笑顔を知ってるから。

この笑顔さえあれば幸せ、って思えるような笑顔。

 

「よし、望たちのとこいこ!」

顔を少し赤くして照れてるのを隠すかのような笑顔。

その笑顔、絶対に離したらへんからな。

 

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(智洋Side)

 

望が送ってくれた地図はなんと、目的の店の地図とは全然違った。

わざとなんか、ホンマに間違えたんかはもう推測しいひん。

どっちであっても、ここにシゲと2人で来れたことに変わりはないから。

 

「これであいつら、先に食べとったらしばいたらなアカンな。」

「それはないやろ?」

ギュっと掴まれた左腕が熱い。

それに、その熱さを感じるとドキドキが加速する。

 

「いや、あいつらやとありえるで?」

「じゃ、そのときは俺もシゲと一緒にしばいたる!」

こんなアホな話をして歩く初めての道も。

 

「こっちの方は結構にぎやかやなぁ。」

「さっきのとことは大違いやね。」

遠回りしたけど、なんとかたどり着いたお店のショーウィンドウに映る君の笑顔も。

全部全部、絶対に忘れられへん、俺だけの宝物。

 

「あ、きたきた!」

「遅かったなぁ。」

店に入れば席にいる望と流星が見えた。

 

「ごめんなぁ。」

とりあえずは俺らのことを待ってたらしい。

俺は流星の隣、シゲは望の隣に座る。

流星と望が隣に座るとぎゅうぎゅうになるから、これは決まりみたいなもん。

 

「一応もう頼んだから。」

「ありがとう。」

「ちょっと望、こっち来い。」

シゲが座る前に望を連れ出した。

理由はわかるけど・・・。

 

「で、どうやった?」

「え?」

「2人で過ごす時間は。」

あぁ、やっぱり策略やったか・・・。

 

「どうやったと思う?」

まぁ、ええねんけど。

「そんな笑顔で聞き返されてもなぁ。」

こっちもそんなニヤニヤしながら聞かれても、やで?

 

「まぁ、幸せそうやったらええわ。」

ええ幸せでしたよ、そりゃあ。

ドキドキしすぎて寿命縮まった気がするくらい。

 

「で、どっちの案なん?」

「それはあっちに聞いて。」

ってことは望か。

 

「なんか気遣わせちゃったな。」

「もう、十分いつも惚気られてるので慣れたわ。」

「俺、そんな惚気てる?」

自覚症状はないに等しい。

 

「じゃあ、俺と神ちゃんのLINEの履歴、シゲに見せたろか?」

「いや、アカン!それはアカン!」

嘘。

あります。

十分すぎるくらいあります。

 

「ほら、そういうことやん。」

うん。

確かに流星にはいっぱいシゲのこと送ってる。

1人でドキドキしてたらホンマに寿命縮みそうやもん。

やから流星に送ってちょっと自分を落ち着かせてる。

つもり。

実際は落ち着いてんのかようわからん。

とにかく、そんなLINEを本人に見せるなんて、絶対にアカン!

恥ずかしすぎる!

 

「あ、望とシゲ戻ってきた。」

これ以上この話はできひん。

本人に聞かれたら元も子もないもん!

でも、シゲは望に何を言うてたんやろ・・・?

 

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(望Side)

 

「ちょっと望、こっち来い。」

店に来るなり、シゲに呼び出しを喰らう。

あれ、ちょっと怒ってる?

 

「なぁ、今日のどういうつもりなん?」

「何が?」

とりあえずしらを切る。

「地図。わざとやろ?」

無駄やったみたい。

 

「楽しめたやろ?」

「そういうことちゃうて!あのなぁ、」

でも楽しんだことは否定しいひん。

ということは楽しんでたわけで。

じゃあ、ええやん。

 

「望の案やろ?」

「へ?」

まさか、そこまで言い当てられるとは。

さすが長い付き合い。

 

「もうな、望の考えてることくらいわかるねん。神ちゃんはどうか知らんけど。」

神ちゃんはたぶんわかってない。

と思う。

俺、そんなわかりやすくしたつもりないし。

 

「俺、いろいろ心配してんで?」

珍しい。

シゲが心配なんて。

 

「店の時間大丈夫かな、とか。ホンマに迷子なったんちゃうかな、とか。」

普段絶対そんなこと考えへんくせに。

神ちゃんと一緒やったからかな?

 

「それやったら大丈夫。そもそもここの予約、言うてた時間とちゃうから。」

「はぁ?!」

「これ込みでこんくらいかなって時間に予約したから。2人とも知らんのにようぴったりくらいに来たなーと思って。」

「あぁ、もう!心配して損したわ。」

「やから純粋に楽しんでくれたらよかったのに。」

「十分楽しんだわ!なんなら次の約束もしたったわ!」

「え?!そうなん!?いついつ?」

そこまでしてたとは!

シャイボーイのくせに!

 

「・・・あぁ、言うんやなかった・・・」

なんや、シゲ案外やるやん!

いや、待てよ。

シゲからとは言うてへんか。

ま、どっちにしろようやった!

俺の作戦、成功ちやう?

 

「まぁええわ。戻ろ。」

「はーい。」

結局怒られた、っていうかええ報告聞けた感じ?

 

「あ、望とシゲ戻ってきた。」

神ちゃんと流星もなんか話してたんかな?

 

「流星も望に余計なことさせんといてや。」

「えぇ?でも楽しかったんやろ?」

「そやけど!」

「あ、シゲも否定せえへんねや。」

シゲも、っていうことはそういうことで。

流星の隣で神ちゃんが少し赤くなってる。

あぁ、これはまたシゲから惚気くるヤツ。

 

「ほら、早よ座り。もう来るで?」

照れ隠しのように言ってるのも確実にかわいい以外の何物でもなくて。

これが無意識って怖いよなぁ。

うん。

これは惚気られてもしゃあないか。

 

言うてる間に店員さんが頼んだものを運んできてくれた。

「うわっ!めっちゃうまそう・・・」

それはネットで見るなんかよりずっとおいしそう。

これが半額なんて!!!

なんてすばらしい・・・!!

 

「いただきまーす!!」

「うまっ!」

美味しいものを食べてるときほど幸せな時間ってないと思う。

 

「で?あの地図の先には何があったん?」

「え?流星知らんの?」

「望に任せきりやったもん。」

「あの先はなぁ、知る人ぞ知る名スポットやねんで!」

という家族情報。

 

「へぇー。確かにめっちゃ綺麗やったもんなぁ。」

もう、もはや神ちゃんも楽しんでたことを隠そうとはしてない。

ほら、俺やっぱええことしたって。

 

「いっぱいイルミネーションあったから、夜はもっと綺麗やと思うねん!やから今度は夜行きたいなぁ。」

あぁ、ほら。

神ちゃんってこういうとこ怖い。

絶対無意識やん。

夜行きたいって、もうさ・・・。

ほら、俺の隣のヤツ、絶対意識してるって。

まあ、これが神ちゃんのええとこやから誰も指摘しいひねんけど。

 

「じゃあ、今度はみんなで行く?」

それを知ってるのにそんなこと言う流星ってなかなかやんな。

「え、えっと・・・」

ほら、神ちゃん困ってるやん。

「嘘嘘。先にシゲと2人で行くんやろ?」

「な、!」

いや、めっちゃ驚いてるやん。

もうそれくらい誰でも予想がつくから!!

こう素直な反応しちゃうところも神ちゃんのええところ。

で、シゲから惚気られるポイント。

もう、最近のシゲとのLINE、神ちゃんのここがかわいい話しかない。

1回本人に見せてあげたいくらい。

そんなことしたら、神ちゃん顔真っ赤になるんやろうけど。

 

「ではここで、クリスマスっぽいことをします!」

俺の提案でプレゼント交換をすることになってる。

ちゃんと俺も持ってきたで?

 

「どうやってやるん?」

「じゃあ、じゃんけんしよ!」

「へ?」

「勝った人がプレゼントぐちゃぐちゃに混ぜるねん。で、残った人が後ろ向いて選ぶ。どう?」

「ええやん。簡単にできるし。」

さぁ、あの2人の間でプレゼント交換成立してくれたらええんやけどな・・・

 

「じゃんけんぽん!」

1番に勝ったのは・・・

「やった!はい、みんな後ろ向いてー。」

なんと俺!

 

とりあえず全員が机の上に出したプレゼントの順番をぐちゃぐちゃにする。

ここ、重要よな?

 

「はい、どうぞ!」

2番目は神ちゃん。

「じゃあ、1番右!」

「はーい。じゃ、次!」

3番目は流星。

「じゃ、俺真ん中で。」

「どうぞ。」

最後はシゲ。

「左!」

「ほい!」

うまいことみんな自分の以外のプレゼントが行き渡った。

 

「俺、シゲのやん・・・」

「えー、これ望のちゃうん?」

「ちょ、不安そうに言わんといてや!神ちゃんは?」

「流星の。」

「じゃあ、シゲが神ちゃんの?」

「うん。」

お! ちゃんとこの2人で成立してるやん?

 

「え、なにこれ・・・」

早速開けたシゲからのプレゼント。

これ、タオル・・・?

「何がええんかわからんかってんもん。とりあえず俺が使いたいやつまとめた!」

「俺、シゲほど汗かかへんねんけど!」

「でもちょっとええやつやで?!」

シゲらしいというか、なんというか・・・

 

「流星のおしゃれ!」

流星からのはネックレスやったらしい。

上手いことおしゃれ大好きな神ちゃんのとこに。

「ホンマ、シゲにいかんくてよかったわ。」

「それどういう意味やねん!」

いや、そのまんまの意味やと思いますけど。

 

「俺のどう?」

俺のプレゼントはタンブラー。

おしゃれなヤツな?

「ええんちゃう?シゲのよりマシやて。」

「なんで俺そんな下やねん!」 い

や、そりゃこれは俺の方が上やろ!

 

「で、神ちゃんは何あげたん?」

「シゲに聞いて。」

「これ、カメラ?」

シゲの手には小さいカメラ。

トイカメラっていうやつ。あんまええヤツちゃうからすぐ壊れちゃうかもやけど。」

1番センスがよかったのは神ちゃんかもな。

 

「じゃあ、これで1枚撮ろうや!」

「ほら、シゲ!自撮り!」

「はぁ?俺できひんて!」

「そやな。シゲの身長やと俺と望が入らへん。」

「うるさいなぁ。じゃあ、流星やってや!」

「はいよ。」

それですぐに承諾する流星は何者なのか、という質問は無視させてもらおう。

それもトイカメラやぞ?という意見とともに。

 

「いくで?はい、チーズ!」

 

写真にはなんとも楽しそうな姿が映っていた。

これからはこの2人でそういう写真、撮っていくんやろうな・・・。

 

「じゃ、帰ろか。」

いろいろあったけど、なんだかんだ楽しんでくれたしよかった。

あとはシゲからの惚気LINEを無視するだけ、か。

 

あぁ、俺も2人みたいに青春したいーーーーーーー!!!!!

 

 

Fin